
内閣府主導の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」の第3回公開シンポジウム
「サーキュラーエコノミーの未来を共に描く―クルマや家電に広がる再生プラスチック―」が1月30日、名古屋市中区のメニコン シアターAoiで開かれた。
2025年度の研究プロジェクトの成果を共有する場として、再生プラスチックを用いた自動車・家電部品などの試作品展示や、資源を「集める側」と「使う側」をつなぐ研究・実証の進捗が示された。
基調講演では、メニコンの川浦康嗣社長CEOが、使用済みコンタクトレンズケースを回収し高品質な再生材につなげる
「1Case(ワンケース)プロジェクト」を紹介。メニコンはSIP第3期課題に2024年4月から参画し、製造・流通過程で使用するプラスチックの資源化研究を推進、2024年10月から同プロジェクトを開始したという。
背景には、再生材の使用拡大を規制面から後押しする動きがある。欧州委員会でELV規則案(新車への再生材使用の段階的義務化)が提案されるなど、
再生材の使用比率を高める制度設計が進みつつあり、良質な再生材と、その“元”となる使用済みプラスチックの供給不足が課題になっているとした。
シンポジウム会場では、提供した使用済みプラスチックを用いた自動車部品の試作品も紹介された。
実装へ向けた論点として浮かび上がったのが「回収の質」だ。SIPに参画するメニコン伊藤恵利氏(共創戦略部部長/東北大特任教授、メニコン×東北大学・みる未来のための共創研究所所長)は、
複数ブランドのレンズケースが混在した状態での再生技術と、回収時の異物混入という課題への取り組みを紹介した。
メニコンは、異物混入が再生材品質を左右する点に焦点を当てた「1Caseプロジェクト」テーマ動画を作成し、同シンポジウムで公開した。
本紙取材に対し川浦社長は、取り組みの狙いを「個社のPR」ではなく“業界全体の循環”に置く考えを強調。
回収対象は、同社発表によると使用済みコンタクトレンズケース(自社、他社不問)とし、
回収拠点(回収ボックス)はグループ販売店「Miru」だけでなく、眼科、公共施設、一般企業、商業施設、学校などへ順次拡大していく方針を示している。
眼鏡業界への示唆も小さくない。コンタクト利用者の多くは眼鏡も併用するため、生活者向け啓発や回収の導線設計では“共通の顧客接点”を生かした連携余地がある。
川浦社長も取材で、眼鏡のフレームやケースなどプラスチック使用が多い点に触れ、
素材として循環に乗せるには「単一材料として選別できる可能性」が鍵になるとの見方を示した(複合材は難易度が上がる)。
循環を社会に根づかせるには、企業側のリサイクル努力だけでなく、生活者の「面倒くさい」を越える仕掛け(行動変容)が最大の壁になる―という問題提起は、
眼鏡・コンタクト両市場に共通する宿題と言えそうだ。
【関連リンク】
- ■1Caseプロジェクト テーマ動画:
https://youtu.be/-DUmHqeseWM - 1)戦略的イノベーション創造プログラム(SIP):
https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/ - 2)サーキュラーエコノミーシステムの構築:
https://www.sip.go.jp/sip/10.html - 3)1Caseプロジェクト:
https://www.menicon.co.jp/campaign/1casepj/